術中EMGモニタリングの最新ガイドライン:安全な神経保護のための活用法

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解説対象論文: Intraoperative electromyography (EMG): an updated position statement by the American Society of Neurophysiological Monitoring
Journal of Clinical Monitoring and Computing|被引用数: 0(2026年9月19日時点)

複雑な手術中、対象者の神経系の安全を確保することは非常に重要です。米国神経生理学的モニタリング学会(ASNM)が発表した最新のポジションステートメントは、この重要な役割を担う術中筋電図(EMG)モニタリングの推奨事項を更新しました。このガイドラインは、手術中の末梢運動軸索の機能状態を評価し、神経損傷のリスクを低減するためのEMGの最適な利用法を神経生理学コミュニティに提供するものです。

研究サマリー(FINER & PICO)
Feasible実施可能性 最新のEMG技術とガイドラインは、様々な外科手術で対象者の神経機能をリアルタイムに評価する実行可能性を提供する。
Ethical倫理面 術中EMGモニタリングの最適化により、対象者の神経学的完全性を保護し、より安全な手術に貢献する。
Interesting面白さ 神経生理学的モニタリングの専門家コミュニティにとって、EMGの原理、応用、技術的側面を深く理解するための貴重な情報源となる。
Novel新規性 2005年の以前のガイドラインを更新し、最新の知見と推奨事項を反映した、神経生理学コミュニティへの新たな教育的サービスを提供する。
Relevant切実さ 手術中の末梢神経系保護の重要性が高まる現代において、EMGの最適な利用法を明確にする点で極めて関連性が高い。
Measurable測定可能性 EMG活動の種類、振幅、持続時間、頻度といった具体的な記録パラメータに基づいて神経の状態を客観的に評価できる。
Modifiable派生・改善 モニタリング結果に基づいて、手術手技や麻酔管理を即座に調整し、潜在的な神経損傷を最小限に抑えることができる。
Structured文章構造 関連する解剖学、技術的方法論、信号解釈、麻酔考慮事項、文書化要件など、包括的かつ体系的な情報を提供する。
PICO / PECO対象・介入・比較・結果 対象者:外科手術を受ける対象者、介入:術中EMGモニタリング、比較:従来のモニタリング、アウトカム:神経学的合併症の低減。

手術中の神経保護:術中筋電図(EMG)モニタリングの最前線

どうも、Beyond the Pixelです。外科手術の進化は目覚ましく、より複雑な手技が可能になる一方で、手術中の神経損傷リスクへの配慮はこれまで以上に重要になっています。米国神経生理学的モニタリング学会(ASNM)が最近発表した「術中筋電図(EMG)モニタリングに関する最新のポジションステートメント」は、この課題に対する明確な指針を示しています。これは、2005年の以前の声明を更新し、手術中に末梢運動軸索の機能的状態を評価し、対象者の神経学的完全性を保護するためのEMGの推奨される使用法を詳細に解説しています。

EMGとは?その歴史と神経保護への応用

筋電図(EMG)は、筋肉から発生する電気活動を記録する技術です。術中神経生理学的モニタリング(IONM)におけるEMGの応用は数十年前から行われており、電気的に誘発される(「トリガー型」)または機械的に誘発される(「自発性」)EMG活動を利用して、手術中の神経機能の温存を支援してきました。脳幹核や脊髄灰白質に由来する下位運動ニューロンの機能を監視するための主要な手段とされています。歴史を遡ると、1898年にFedor Krauseが顔面神経への電気刺激を用いて顔面筋の収縮を観察したのが、手術中に電気的に誘発される筋活動を用いた最も初期の例かもしれません。その後、顕微鏡手術の導入に伴い、1960年代から70年代にかけては、専用のモニタリング装置が開発され、顔面神経の電気刺激による筋収縮の測定、さらには筋電図記録へと発展しました。この技術は、末梢神経、脊髄神経、脳神経、さらには脊髄、脳幹、脳の運動経路のマッピングとモニタリングに広く活用されています。運動単位とは、1つの下位運動ニューロンとその神経が支配する全ての筋線維の集合を指し、この運動単位の同期した活動が運動単位活動電位(MUAP)として記録されます。このMUAPが、手術中に観察される自発性EMG活動の基本的な構成要素となります。

EMGモニタリングの技術:記録と刺激の最適化

術中EMGは、主に「自発性EMG(フリーランEMG)」と「誘発性EMG(トリガーEMG)」の2つの形式で記録されます。自発性EMGは、神経への機械的、熱的、または化学的刺激による偶発的な神経の脱分極を検出する受動的な技術です。これは神経刺激を特定するためのスクリーニングツールとして用いられ、潜在的に有害な操作を最小限に抑えるための即時フィードバックを専門家に提供します。一方、誘発性EMGは、電気刺激を用いて能動的に神経を検査し、刺激部位から筋終板までの機能的な神経線維の連続性を示します。これにより、運動神経の同定、位置マッピング、そして機能的完全性のテストに役立ちます。例えば、後頭蓋窩手術などでは、自発性EMGと誘発性EMGの両方を組み合わせることで、最良の手術成果が得られる可能性が高まります。

記録電極とパラメータ

筋内電極は、皮下針電極や表面電極では検出できない可能性のある自発性EMG活動や、最大の振幅を持つ運動単位活動電位(MUAP)を記録することができます。

Figure 1
Figure 1. Fig. 1 Free-run EMG from three different deltoid muscles is recorded at surface electrode (SURF), subdermal needle (SUBD), and intramus­ cular needle (IM) derivations. In (a) neurotonic bursts are seen only at IM (a very common scenario). In (b) a recurrent discharge is recorded synchronously at SUBD and IM with a minimal deflection at SURF. In (c) independent discharges occur at SUBD and IM (highly attenuated signal at SURF).解説: デルタ筋から記録されたフリーランEMGの例を示します。筋内電極(IM)では、皮下電極(SUBD)や表面電極(SURF)では検出されにくい神経緊張性バーストがはっきりと見られます。神経筋活動の記録において、電極の配置と種類がいかに重要かを示しています。
Figure 2
Figure 2. Fig. 2 Surgeon alerted after 20–30 + Hz right deltoid A-train discharge, detected mainly at IM during free-run EMG (a). Small deflections seen at SURF & SUBD. Pre-discharge TCE MEP (b) reveals good signal acquisition at deltoid sites (especially IM). After A-train, TCE MEP amplitude reduced > 90% (despite higher stimulation voltage and dou­ ble train stimulation (DTS) (c). Post-operatively, patient suffered com­ plete long-standing right deltoid paralysis. SURF, SUBD, IM = right deltoid surface, subdermal needle, and intramuscular needle deriva­ tions respectively. BIC = biceps brachii, TRI = triceps, ADM = abduc­ tor digiti minimi right IM needle derivations. STS = single train stimulation.解説: 右デルタ筋のフリーランEMGで検出された20-30+HzのA-train放電と、その後の経頭蓋電気刺激運動誘発電位(TCE MEP)の変化を示しています。この放電後、TCE MEPの振幅が90%以上減少し、術後に右デルタ筋の完全麻痺に至ったケースです。

一般的に、ほとんどの術中EMGは、筋肉上の皮膚に配置された標準的な13mmの皮下針電極を使用して行われますが、異常な自発性EMG活動を感度良く記録するには筋内電極が推奨されます。電極のインピーダンスは5キロオーム未満に保ち、ペア内でバランスが取れていること(電極間インピーダンス差が1キロオーム未満)が推奨されます。適切な安全および感染管理ガイドラインに従うことが不可欠です。電極はモニタリング対象の神経が支配する筋肉に配置し、活動電極と参照電極を筋肉の腹部に配置する双極配置が一般的です。絶縁されたシャフトを持つ単極EMG針電極は、表面からのアーチファクトや隣接する筋肉からの混入活動を減らすのに役立つことがあります。

Figure 3
Figure 3. Fig. 3 Impact of an insulated shaft electrode on decreasing unwanted triggered EMG from overlapping cranial myotomes. (a) Triggered EMG responses after cathodal monopolar stimulation of CN 7 at 1.0 mA with a 50 µs pulse were recorded using 13 mm uninsulated needle electrodes (1.5 cm spacing) from mentalis (black trace) and masse­ ter (blue trace). A 25 mm insulated shaft electrode with only 6 mm of the tip uninsulated was placed at the same location for masseter recording (red trace). All responses were recorded at 400 µV/Div using a passband filter of 30 − 10,000 Hz. The unwanted contamina­ tion from CN 7-innervated muscles (presumably platysma, possibly others like buccinator) shows up as a larger waveform in the uninsu­ lated (blue) pair of electrodes than the insulated pair (red). (b) Trig­ gered EMG responses were recorded using 13 mm uninsulated needle electrodes from frontalis-oculi (top black trace), oris-mentalis (bottom解説: 絶縁されたシャフト電極が、隣接する頭蓋神経筋からの不要な誘発性EMGを低減する効果を示しています。絶縁されていない電極(青い線)では顔面神経刺激による大きな波形が記録されるのに対し、絶縁された電極(赤い線)ではそれが抑制されています。これにより、特定の筋肉からの活動をより選択的に記録できることが示唆されます。

記録パラメータの設定も重要です。自発性EMGのスイープは、詳細な波形評価と発火パターン評価のバランスを考慮して選択されます。誘発性EMGでは、脳神経のCMAP潜時は1~10ms、脊髄神経根のCMAP潜時は10~30msであるため、それぞれ30ms、50msのスイープが推奨されます。ゲインはアンプの出力を入力信号に対する比率で、感度は入力電圧を画面上の偏向に対する比率で示されます。現代のIONMシステムでは、ゲインと感度を独立して調整できますが、システムのダイナミックレンジとデジタル分解能の関係を理解することが重要です。

Figure 4
Figure 4. Fig. 4 Impact of changing analog-to-digital converter (ADC) ranges without gaining vertical resolution. Spontaneous EMG from mentalis was recorded at four “gain” settings (10, 20, 50, and 100 µV/Div) with intraoperative neurophysiologic monitoring equipment which allows changes in “gain” that do not use different levels of amplification but only different ADC ranges. Intrinsic amplifier noise (dotted lines ≈ 5 µV) is larger than digitized steps of the 16-bit ADC, which are 0.002解説: アナログ-デジタル変換器(ADC)のレンジを変更しても、垂直分解能が必ずしも向上しない影響を示しています。異なる「ゲイン」設定(10、20、50、100 µV/Div)での自発性EMG記録を比較しており、アンプの固有ノイズがデジタル化されたステップよりも大きいため、一部のゲイン設定ではダイナミックレンジが犠牲になるだけで、波形分解能は向上しないことを示しています。

自発性EMGの記録は、MUAPが識別できるように十分に増幅される必要があり、通常は100µV/divisionのゲインが適切です。誘発性EMGの場合、閾値EMG応答の測定には100µV/divisionが、最大上応答には10mV/division(10,000µV/division)といったように、アプリケーションに応じて調整が必要です。

フィルタリングは、不要な信号を周波数内容に基づいて低減するために行われます。自発性EMGの周波数内容は30~10,000Hzの範囲でよく知られており、低周波フィルターは30Hzに設定することでベースラインドリフトなどのアーチファクトを制限できます。誘発性EMGでは3~30Hzの低周波フィルターが推奨されます。特に誘発性EMGでは、60Hzノッチフィルターの使用は、波形を歪める「リンギングアーチファクト」を引き起こす可能性があるため、可能な限り避けるべきです。

Table 1
Table 1. Table 1 EMG recording parameters解説: 自発性EMGと誘発性EMGの両方における、様々な記録パラメータの推奨値の範囲を示した表です。スイープ時間、ゲイン、表示感度、低周波フィルター、高周波フィルターの設定値が提示されています。

また、EMGの音声出力は、神経生理学者と外科専門家の両方に自発性EMG活動のパターンを即座に認識させる上で非常に有用です。これにより、刺激の存在や欠如もすぐに把握でき、即時フィードバックが可能になります。

刺激電極と刺激パラメータ

誘発性EMGモニタリングでは、主に単極と双極の2つの刺激プローブ構成が使用されます。単極刺激では、単一のカソード刺激プローブと、そこから離れたアノード(通常は手術野の外)が使用され、電流が広範囲に広がる特性があります。これは、骨や腫瘍などの組織を介して神経を探す際に有利です。双極刺激は、アノードとカソードが非常に近くに配置され、電流の拡散を最小限に抑え、刺激の特異性を確保することを目的としています。特定の神経に直接刺激を与える場合に適しています。頭蓋神経の手術では、単極刺激がデフォルトの配置として推奨されることが一般的です。

誘発性EMGの刺激パラメータは、アプリケーションによって異なります。

Table 2
Table 2. Table 2 Stimulation parameters for triggered EMG解説: 頭蓋神経モニタリング、椎弓根スクリューテスト、馬尾手術といった一般的な誘発性EMGの応用における刺激パラメータの推奨値を示した表です。パルス持続時間、反復率、強度に関する具体的な値が示されています。

神経励起は、パルス持続時間と強度の積である電荷量に依存します。パルス持続時間が長いほど、神経を刺激するための閾値強度は低くなります。椎弓根スクリューテストなどでは、0.2msのパルス持続時間が広く使用されており、この持続時間で導出された基準が適用されます。反復率は主に個人の好みによりますが、刺激プローブが手術野で素早く動く場合、遅すぎる刺激は運動軸索を見逃すリスクがあります。また、神経への直接刺激にはより低い電荷供給が必要ですが、インプラントされたハードウェアやその他の導電性機器を介した刺激には、一般により高い強度が必要です。

麻酔の影響と神経筋接合部モニタリング

自発性および誘発性EMGモニタリングにおいて、麻酔に関する主な懸念は神経筋遮断薬(NMBA)の使用です。NMBAは、筋肉の動きを防ぎ、筋緊張を軽減するために手術で一般的に使用されますが、神経筋接合部がアセチルコリン(ACh)を受け入れる能力を低下させ、EMGモニタリングに干渉する可能性があります。理想的には、EMGモニタリングが必要な重要なイベントに間に合うようにNMBAの効果が消失していることが望ましいです。残存する神経筋遮断は、自発性EMGの減少や誘発性EMG応答の振幅の低下を引き起こす可能性があります。そのため、可能な限り神経筋遮断を避けることが最善です。

神経筋接合部の状態を評価する最も一般的な方法は、4連反応(TOF)法です。これは末梢神経に2Hzで4回の最大上刺激を与え、結果として生じる複合筋活動電位(CMAP)を記録することで行われます。

Table 3
Table 3. Table 3 Common stimulus and recording sites for Train-of-Four (TOF) testing Stimulus site Recording site Facial nerve trunk near the stylomastoid foramen Orbicularis Oris or Oculi Median nerve at the wrist Abductor pol­ licis brevis Ulnar nerve at the wrist Abductor digiti minimi, adduc­ tor pollicis Common peroneal nerve at the fibular head Tibialis anterior Tibial nerve at the popliteal fossa Gastrocnemius Posterior tibial nerve behind the medial malleolus Abductor Hallucis解説: 4連反応(TOF)テストの一般的な刺激部位と記録部位をまとめた表です。顔面神経、正中神経、尺骨神経、総腓骨神経、脛骨神経など、各神経に対応する刺激部位と、そこから筋電図を記録する筋肉が示されています。

非脱分極性NMBAは、運動終板のアセチルコリン受容体をブロックすることで作用しますが、シナプス前膜のニコチン性アセチルコリン受容体にも結合し、アセチルコリンの放出を阻害します。これにより、反復的な軸索活動に伴いアセチルコリンの放出が減少し、筋収縮の振幅が徐々に低下する「フェード」現象が観察されます。これは部分的な筋弛緩状態のTOFで確認できます。アセチルコリン受容体の約70%がブロックされるまでは顕著な効果は見られませんが、それ以上になると振幅が減少し、フェードの程度が増加します。4番目の筋収縮(T4)が完全に消失するのは約75%の受容体ブロック時、T3は約80%、T2は約90%、そしてT1はほぼ100%のブロック時です。また、局所麻酔薬、特にリドカインの使用もEMGモニタリングに問題を引き起こす可能性があります。モニタリング対象の神経の近くに適用されると、神経伝導ブロックを引き起こし、偽陰性の結果につながる可能性があるため注意が必要です。

自発性EMG活動の多様なパターンとその臨床的意義

自発性EMG活動は、下位運動ニューロンの脱分極によって生じ、上部運動ニューロンからの興奮(例:麻酔からの覚醒)や、手術による機械的、化学的、熱的刺激または損傷によって引き起こされます。これは神経刺激や潜在的な損傷に関する迅速なフィードバックを提供しますが、すべての神経損傷メカニズムがEMG活動を誘発するわけではありません。安静時の筋肉に電気活動がないのは正常な状態ですが、これは神経機能の完全性を示すものではありません。完全に損傷した神経はEMG活動を全く生成しないこともあります。

自発性EMG活動の基本的な構成要素は、通常、二相性または三相性の「スパイク」として現れる運動単位活動電位(MUAP)です。これらのMUAPが、さまざまなパターンを形成します。最も病理的と考えられるのが、50~200Hzの非常に高い頻度で発火する「神経緊張性放電(A-trains)」です。

Figure 6
Figure 6. Fig. 6 Middle-aged female with neck pain and C7–T1 spondylolisthe­ sis undergoes decompression/fusion. Left = 3, right = 1 s time sweep. (a) During active decompression at C7-T1, bursts of 140 Hz A-trains are reported; (b) The bursting A-trains evolve into a continuous 140 + Hz train activity; (c) A-train salvos re-appear, convert to non-解説: C7-T1脊椎すべり症の対象者における術中EMG記録の例です。減圧術中に140HzのA-trainバーストが報告され、その後連続的な活動に移行し、最終的に右腕の特定の筋肉(R ADM)のTcMEP消失と術後麻痺につながったケースを示しています。
Figure 8
Figure 8. Fig. 8 Abrupt A-train is generated after prone positioning in a patient with L2 –L3 pseudoarthrosis and an unstable spine. The peak fre­ quency is 200 Hz, but A-train frequency may vary dramatically as in the lower trace of (b). The trace duration is 5 s in (a), 1 s in (b). Upper traces of (a) & (b) record the early A-train epoch, lower traces the later evolution解説: L2-L3偽関節と不安定な脊椎を持つ対象者が腹臥位になった際に発生した急なA-train放電を示しています。ピーク周波数は200Hzですが、A-trainの周波数は大きく変動する可能性があります。

これは、特に顔面神経損傷のリスクと関連性が高く、累積的な「トレイン時間」が長いほど術後筋力低下のリスクが高まることが示されています。一方、「スパイク」や半同期性の多相性「バースト」(B-trains)は、神経への短時間の直接的損傷(ぶつかる、擦れる、伸張など)に関連し、神経刺激を示唆しますが、損傷の信頼できる予測因子ではありません。

「不規則パターン(C-trains)」は、1つまたは複数のMUAPが不規則に継続して活動するもので、麻酔からの意図しない覚醒や冷たい生理食塩水灌流によって観察されることがあります。これらは通常、神経に有害な影響を与えるものではありません。さらに、「上位セグメント発生EMG放電(SEDs)」は、脊髄手術中に脊髄への衝撃後に記録されることがあり、経頭蓋電気刺激運動誘発電位(TcMEP)の喪失を予測する可能性があります。

Figure 11
Figure 11. Fig. 11 20 yo F with dysesthesiae in both legs and T11–T12 HNP under­ goes transforaminal T11–T12 thoracic interbody fusion. (a) Before rod compression, C4 and C3 TcMEP and EMG are normal; (b) Rods are compressed with immediate R Q SED (16:16:22). SED subsides after release of rod compression (16:16:43) but returns (16:19:20) when rods are re-compressed. (c) TcMEP lost at R EHL, AH with maintained rod compression (16:22:26); (d) TcMEP recovering when kyphosis reduc­解説: T11-T12椎間孔経路椎体間固定術中のTcMEPとEMG記録を示しています。ロッド圧迫後、即座に右四頭筋に上位セグメント発生EMG放電(SED)が発生し、これは神経学的変化の早期指標となり得ます。

これは、頸椎や胸椎レベルの手術において、皮質脊髄路モニタリングを補完するものです。

誘発性EMGのさらなる活用と頭蓋神経モニタリング

誘発性EMGは、自発性EMGを補完する重要なツールです。電気刺激によって運動神経の軸索を活性化することで、多数のMUAPが同期して発火し、複合筋活動電位(CMAP)を生成します。これにより、刺激部位から筋肉までの運動線維の機能的連続性が確認できます。誘発性EMGは、主に以下の2つの重要な役割を果たします。

  1. 運動神経の陽性同定と他の構造物との鑑別。
  2. 運動神経の機能的完全性の確立。

刺激強度を調整することで、神経が見えるようになる前に、周囲の組織(骨や腫瘍など)を介して刺激し、神経の位置を推定することができます。例えば、椎弓根スクリューの安全な挿入経路の決定や、椎弓根穿孔の特定、腰部神経叢への不安全な近接の特定など、低侵襲脊椎手術において成功裏に適用されています。

頭蓋神経は、特に脳幹からの出口点(レドリッヒ-オーバースタイナーゾーン)で、機械的刺激と電気刺激の両方に対して非常に敏感です。頭蓋神経EMGでは、モニタリング対象の頭蓋神経が支配する筋肉に記録電極が配置されます。

Table 4
Table 4. Table 4 Muscle sites for cranial motor nerves Cranial Nerve Common Muscle Sites III: Oculomotor Inferior Rectus IV: Trochlear Superior Oblique V: Trigeminal Masseter, Temporalis VI: Abducens Lateral Rectus VII: Facial Frontalis, Orbicularis Oculi, Orbicularis Oris, Mentalis IX: Glossopharyngeal Stylopharyngeus (via soft palate placement*) X: Vagus Vocalis & other laryngeal muscles (ET tube electrode) XI: Spinal Accessory Trapezius or Sternocleidomastoid XII: Hypoglossal Tongue * The lateral and superior position of the stylopharyngeus muscle relative to the soft palate precludes feasible intramuscular placement, thus electrode placement in the lateral soft palate is a frequent sur­ rogate option解説: 頭蓋運動神経の一般的な筋肉部位をリストアップした表です。動眼神経(III)から舌下神経(XII)まで、それぞれの神経が支配する主要な筋肉が示されており、EMGモニタリングの電極配置に役立ちます。

例えば、動眼神経、滑車神経、外転神経のモニタリングには、シャフトが絶縁された長い(25mm以上)針電極が最適です。これは、外眼筋の解剖学的な深さと、眼輪筋(顔面神経)のEMG活動の混入を避けるためです。頭蓋神経の誘発性EMG応答の「発症潜時」は、その神経の種類を識別するのに役立ちます。

Figure 12
Figure 12. Fig. 12 Onset latency facilitates differentiation of cranial nerve trig­ gered EMG responses. Bipolar needle electrode recordings from cra­ nial nerve V and VII innervated muscles show compound motor action potentials (CMAPs) after stimulation of cranial nerves V (a) or VII (b). The proximity of muscles innervated by these two nerves results in volume conduction “crosstalk” between the channels. However, the onset latency of masseter CMAPs are shorter than those originating from facial innervated muscles解説: 頭蓋神経の誘発性EMG応答の「発症潜時」が、異なる頭蓋神経を識別するのに役立つことを示しています。例えば、顔面神経(VII)と三叉神経(V)刺激後のマスセター筋(咬筋)の応答潜時の違いを通じて、神経を特定できます。

まとめ:神経保護の未来へ向けて

ASNMによる術中EMGモニタリングに関するこの最新のポジションステートメントは、手術中の対象者の神経学的完全性を保護するための包括的かつ具体的なガイダンスを提供します。解剖学、技術的方法論、信号解釈、麻酔および生理学的考慮事項、そして文書化と資格認定要件に至るまで、EMGモニタリングを最適化するための多角的なアプローチが提示されています。これにより、神経生理学コミュニティは、この重要なツールを最大限に活用し、より安全で質の高い外科医療の実現に貢献できるでしょう。今後の研究では、各ガイドラインの臨床的アウトカムへの具体的な影響をさらに検証し、EMGモニタリングの精度と効果を一層向上させることが期待されます。

補足図表

Figure 13

Figure 13
Figure 13. Fig. 13 Lateral spread response in patient with hemifacial spasm. With stimulation of the zygomatic branch of the facial nerve, an expected early onset latency direct CMAP occurs in orbicularis oculi (a), whereas a longer latency “lateral spread response” (LSR) occurs in

Figure 14

Figure 14
Figure 14. Fig. 14 In order to avoid inadequate sampling, two channels of left deltoid EMG are recorded during anterior cervical discectomy C4-C5 (L Del 1 & 2). In (a), the abrupt onset of an A-train is clearly seen at L Del 2; in (b), the L Del 2 A-train continues to exhibit typically low amplitude and variable frequency features

Figure 15

Figure 15
Figure 15. Fig. 15 Soleus responses following dorsal midline lumbar stimulation at six sites from L4-L5 to T11-T12. Low and high stimulating intensity evoked indirect (H / PRM reflex) and direct (M) responses respectively at all sites. The H-to-M interval shortens as stimulation moves crani­ ally away from the emergence of S1-S2 soleus roots. Minimum H-M values are seen at T11-T12 and T12-L1.

Figure 17

Figure 17
Figure 17. Fig. 17 Sudden isolated loss of ARMR in quadriceps muscle while a Hohmann retractor was compressing the femoral nerve (22:28:42). The response recovered post-retractor removal. Arrow = start of response recovery. Recovery from mild post-operative quadriceps palsy within 48 h. ARMR, Anterior root muscle response = TaCMAP in this review.

用語集

  • EMG: 筋電図。筋肉の電気活動を記録し、神経や筋肉の機能を評価する検査。
  • IONM: 術中神経生理学的モニタリング。手術中に神経機能をリアルタイムで監視する技術。
  • 末梢運動軸索: 脳や脊髄から筋肉へ信号を伝達する神経細胞の延長部分で、運動指令を伝える。
  • 下位運動ニューロン: 脳幹核または脊髄灰白質に細胞体を持つ運動神経で、筋肉を直接支配する。
  • 運動単位: 1つの下位運動ニューロンと、その神経が支配する全ての筋線維の集合。
  • MUAP: 運動単位活動電位。単一の運動単位が活動した際に記録される特徴的な電気信号。
  • CMAP: 複合筋活動電位。多数の筋線維が同期して活動した際に、まとめて記録される大きな電気信号。
  • 自発性EMG(フリーランEMG): 意図的な電気刺激なしに、神経への機械的・熱的・化学的刺激によって発生するEMG活動。
  • 誘発性EMG(トリガーEMG): 意図的な電気刺激によって神経を活性化し、誘発されるEMG活動。
  • 神経筋遮断薬(NMBA): 筋肉の動きを一時的に抑制するために手術で使用される薬剤。
  • TOF: 4連反応。神経筋遮断の程度を評価するために、2Hzで4回の刺激を与えるモニタリング方法。
  • 神経緊張性放電(A-trains): 50~200Hzの高頻度で発火する、病的意義が高いとされる自発性EMGパターン。
  • 上位セグメント発生EMG放電(SEDs): 脊髄への衝撃などにより、操作部位から遠隔の筋から記録されるEMG活動。TcMEP喪失を予測し得る。
  • TcMEP: 経頭蓋電気刺激運動誘発電位。脳から末梢神経への運動経路の機能を評価するモニタリング法。
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免責事項

発行 Beyond the Pixel 編集部(Visionary Imaging Services, Inc.)

編集責任者 小林 達明(診療放射線技師/博士(情報学)) ORCID

本記事は生成 AI を用いて作成しています。公開後に気づいた誤りは編集部が随時修正します。

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