敗血症性ショック治療の新潮流:VNERiによる血管反応性モニタリング

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解説対象論文: Bedside monitoring of the vascular response to norepinephrine in early septic shock: VNERi trajectories and comparison with dynamic clinical measures
Journal of Clinical Monitoring and Computing|被引用数: 0(2026年10月11日時点)

敗血症性ショックは依然として高い死亡率を示す重篤な病態であり、その治療にはノルエピネフリンなどの血管作動薬が不可欠です。しかし、個々の対象者の血管反応性は大きく異なり、この反応性をリアルタイムで評価する簡便な指標が求められています。本記事では、既存のモニタリングデータから算出できる血管ノルエピネフリン反応指数(VNERi)の、敗血症性ショックにおける48時間経時的変化とその予後予測能を検証した最新のオープンアクセス論文をご紹介します。

研究サマリー(FINER & PICO)
Feasible実施可能性 VNERiは既存のモニタリング信号から算出可能で、追加の手順なしにベッドサイドで経時的モニタリングが実施可能。
Ethical倫理面 研究は倫理委員会の承認を得て、書面による同意が取得されており、医療倫理指針に沿っている。
Interesting面白さ VNERiの経時的変化が予後予測に寄与する可能性があり、そのパターンが異なる予後と関連する点は興味深い。
Novel新規性 VNERiのベースラインだけでなく、48時間にわたる経時的変化とその予後予測能を前向きに評価した初の研究である。
Relevant切実さ 敗血症性ショックの死亡率が高い中、VNERiは血管作動薬治療の個別化や難治性血管麻痺の特定に貢献し得る。
Measurable測定可能性 拡張期動脈圧、ノルエピネフリン投与量、心拍数という客観的な数値に基づきVNERiは定義され測定される。
Modifiable派生・改善 VNERiの軌跡は治療戦略によって変化し得る指標であり、表現型に基づいた介入により予後を改善できる可能性を秘める。
Structured文章構造 単施設前向きコホート研究として、主要仮説と主要評価項目を事前に定めて実施され、多様な統計手法で解析されている。
PICO / PECO対象・介入・比較・結果 敗血症性ショックの成人対象者に対しVNERiの48時間経時モニタリングを行い、既存指標と比較し28日死亡率等を評価。

はじめに:敗血症性ショックと血管作動薬の課題

どうも、Beyond the Pixelです。敗血症性ショックは、全世界で高い死亡率を示す重篤な病態です。この状態は、全身性の血管拡張と循環不全を特徴とし、血圧維持のためにノルエピネフリン(NE)などの血管作動薬が第一選択薬として用いられます。しかし、同じ量のノルエピネフリンを投与しても、対象者ごとに血管の反応性は大きく異なります。血管緊張が速やかに回復する対象者がいる一方で、カテコラミン耐性血管麻痺と呼ばれる、薬剤に反応しにくい状態が持続する対象者も存在します。このような個別の反応性をベッドサイドでリアルタイムに評価できれば、よりパーソナライズされた治療が可能になり、予後改善に繋がる可能性があります。しかし、これまでの研究では、血管ノルエピネフリン反応指数(VNERi)のような指標は、主に治療開始時の単一時点での評価に留まっていました。そこで今回ご紹介する論文は、敗血症性ショックにおけるVNERiの48時間にわたる経時的変化を初めて前向きに追跡し、その予後予測能を検証した画期的な研究です。

VNERiとは?ベッドサイドで導出される新しい指標

血管ノルエピネフリン反応指数(VNERi)は、拡張期動脈圧(DAP)をノルエピネフリン投与量と心拍数(HR)の積で割った値です。すなわち、VNERi = 拡張期動脈圧(DAP) / (ノルエピネフリン投与量 × 心拍数) の式で算出されます。拡張期動脈圧は主に動脈の血管緊張を反映しており、この値が低いにもかかわらず、高いノルエピネフリン投与量と心拍数が必要とされる場合、VNERiは低値となり、血管反応性が弱い(血管麻痺状態)ことを示唆します。逆に高値であれば、血管緊張が保たれている、あるいは回復している状態を意味します。拡張期動脈圧、ノルエピネフリン注入速度、心拍数はすべてベッドサイドで日常的にモニタリングされている信号から計算できるため、VNERiは追加コストなしで経時的に利用できる指標と言えます。VNERiは、過去の研究では主にベースライン測定値が死亡率と関連付けられていましたが、敗血症性ショックの初期段階では、輸液蘇生、血管作動薬の調整、病状の経過によって血管緊張は急速に変化します。そのため、単一時点の測定値だけでは、対象者の病態が回復しているのか悪化しているのかを判断するのは困難でした。この研究では、このVNERiの経時的変化に焦点を当てています。

研究デザインと方法:前向きコホート研究で48時間を追跡

この研究は、単施設前向き観察コホート研究として実施されました。敗血症性ショックの成人対象者94名が登録され、主要評価項目は28日全死因死亡率とされました。ノルエピネフリンを第一選択の血管作動薬として開始された対象者が、開始後6時間以内に登録されました。VNERiは、T0(ベースライン)、T4、T6、T12、T24、T36、T48の各時点で算出されました。この48時間シリーズから、VNERiのコース(経時的変化)を要約する様々なパラメータ(平均値、最小値、傾きなど)が導出されました。これらのパラメータは、28日死亡率に対する予測能について、SOFAスコアの変化(ΔSOFA)や乳酸クリアランスといった、すでに臨床現場で使用されている動的臨床指標と比較されました。統計解析には、AUCを用いたDeLong検定、ロジスティック回帰、および時間依存性Cox回帰が用いられています。また、対象者をVNERiの経過パターンで分類する探索的な解析も実施されました。研究フローダイアグラムは

Figure 1
Figure 1. Fig. 1 Study flow diagram. Of 111 patients assessed for eligibility, 17 were excluded and 94 were included and followed prospectively for 48 h (median 6 vascular norepinephrine response index [VNERi] mea­ surements per patient, from hour 0 to hour 48). The primary analysis of 28-day mortality included all 94 patients (64 survivors, 30 non-survi­ vors). The exploratory analysis of incident sepsis-associated acute kid­解説: このフローダイアグラムは、研究に参加した対象者の選択プロセスを示しています。111名の対象者が適格性を評価され、そのうち17名が除外されました。最終的に94名が研究に含まれ、48時間にわたって前向きに追跡されました。主要解析は28日死亡率について全94名で実施され、副次解析である敗血症関連急性腎障害の新規発症については、ベースラインで腎障害がなかった83名で評価されました。

に示されています。

主要な発見:VNERiの経時的変化は予後と関連するが、既存指標を超えるものではない

この研究の重要な結果は以下の通りです。

1. ベースラインVNERiは予後予測能が低い
28日死亡率は32%(94名中30名)でした。ベースラインのVNERi中央値は7.5であり、ほとんどの対象者で血管反応性が保たれていました。このため、ベースラインVNERiは死亡率との関連が明確ではなく、予後予測能も低い結果となりました(AUC 0.59)。これは、対象者の多くがベースラインで血管低反応性を示さなかったためと考えられます。非生存者は生存者よりも年齢が高かったものの(中央値68歳 vs 61.5歳、p=0.011)、ベースラインのSOFAスコア、乳酸値、ノルエピネフリン投与量、その他の血行動態変数は両群間で類似していました。詳細なベースライン特性は

Table 1
Table 1. Table 1 Baseline characteristics by survivors and non-survivors. Continuous variables are shown as the median [interquartile range, IQR] Variable All (n = 94) Survivors (n = 64) Non-survivors (n = 30) p N 94 64 30 Age, years 64.5 [56.0–71.0] 61.5 [53.0–68.0] 68.0 [61.5–72.8] 0.011 Male sex 51 (54%) 33 (52%) 18 (60%) 0.587 BMI, kg/m² 25.7 [23.8–28.0] 25.7 [23.9–28.5] 25.5 [23.4–27.7] 0.394 SOFA (T0) 7.0 [6.0–9.0] 7.0 [6.0–9.0] 8.0 [6.0–10.0] 0.271 Baseline creatinine, mg/dL 1.1 [0.9–1.4] 1.2 [0.9–1.4] 1.0 [0.8–1.5] 0.235 Baseline KDIGO ≥ 2 (T0) 11 (12%) 6 (9%) 5 (17%) 0.496 RRT (T0) 1 (1%) 0 (0%) 1 (3%) 0.319 Lactate T0, mmol/L 2.2 [1.5–2.9] 2.0 [1.4–2.8] 2.3 [1.7–3.1] 0.174 pH T0 7.4 [7.4–7.5] 7.4 [7.4–7.5] 7.4 [7.4–7.4] 0.297 NE dose T0, µg/kg/min 0.1 [0.1–0.1] 0.1 [0.1–0.1] 0.1 [0.1–0.2] 0.120 NEq T0, µg/kg/min 0.1 [0.1–0.1] 0.1 [0.1–0.1] 0.1 [0.1–0.2] 0.100 Heart rate T0, /min 90 [85–100] 90 [84–100] 90 [89–97] 0.735 DAP T0, mmHg 63 [60–70] 63 [60–69] 60 [60–70] 0.797 MAP T0, mmHg 80 [74–80] 79 [72–80] 80 [75–87] 0.209 Additional vasoactive (non-NE) 13 (14%) 8 (12%) 5 (17%) 0.822 VNERi T0 7.5 [4.4–12.5] 7.8 [4.9–15.3] 6.1 [4.2–9.9] 0.143 VNERi min (0–48 h) 4.4 [2.3–7.0] 5.2 [3.0–7.3] 2.8 [1.9–4.6] 0.003 VNERi last (0–48 h) 7.9 [3.1–24.4] 12.4 [4.7–31.6] 4.4 [2.2–8.1] 0.001 VNERi change (last−first) 0.0 [− 3.2–16.6] 3.2 [− 3.2–21.1] −1.3 [− 3.5–0.0] 0.021 VNERi slope, /hour 0.0 [− 0.1–0.3] 0.1 [− 0.1–0.5] 0.0 [− 0.1–0.1] 0.018 Incident SA-AKI (7 d)* 55/83 (66%) 40/58 (69%) 15/25 (60%) 0.456 Continuous variables were compared with the Mann-Whitney U test and categorical variables with the chi-square or Fisher exact test. *Incident SA-AKI was assessed only in the 83 patients without kidney injury at baseline (58 survivors, 25 non-survivors). BMI, body mass index; DAP, diastolic arterial pressure; IQR, interquartile range; KDIGO, Kidney Disease: Improving Global Outcomes; MAP, mean arterial pressure; NE, norepinephrine; NEq, norepinephrine equivalent; RRT, renal replacement therapy; SA-AKI, sepsis-associated acute kidney injury; SOFA, Sequential Organ Failure Assessment; T0, baseline (hour 0); VNERi, vascular norepinephrine response index解説: この表は、生存者と非生存者におけるベースライン特性を比較したものです。年齢(中央値64.5歳)やSOFAスコア(中央値7.0)、ベースラインのVNERi(中央値7.5)などが示されています。非生存者は生存者よりも年齢が高かった(中央値68.0歳 vs 61.5歳、p=0.011)ですが、SOFAスコアや乳酸値、ノルエピネフリン投与量など、他の多くのベースライン指標は両群間で有意な差がありませんでした。

に示されています。

2. VNERiの経時的変化は予後と関連
ベースラインVNERiは予後予測能が低い一方で、48時間にわたるVNERiのコースパラメータ(平均レベル、最小値、最終値、傾き)は、死亡率と有意に関連しました。生存者ではVNERiが時間とともに上昇する傾向が見られたのに対し、非生存者では低い値で横ばい、あるいは低下する傾向がありました(

Figure 2
Figure 2. Fig. 2 Median VNERi over the first 48 h in survivors and non-survi­ vors. Points show the median VNERi at each scheduled time point for survivors (n = 64) and non-survivors (n = 30). VNERi is the diastolic arterial pressure (DAP) divided by the product of the norepinephrine解説: この図は、生存者(青線、n=64)と非生存者(赤線、n=30)における最初の48時間のVNERi中央値の推移を示しています。VNERiは拡張期動脈圧をノルエピネフリン投与量と心拍数の積で割った値です。ベースラインでは両群の値が重なっていますが、時間が経つにつれて生存者のVNERi値が上昇し、非生存者の値は低いままで推移することで両群が分離していることが見て取れます。

参照)。特に平均レベル(AUC 0.73)が最も強い識別能を示し、ベースラインVNERiよりも有意に優れていました。VNERiのベースライン値と経時的パラメータによる28日死亡率の識別能の比較は

Figure 3
Figure 3. Fig. 3 Discrimination of the baseline versus the trajectory VNERi parameters for 28-day mortality. (a) Receiver operating characteristic (ROC) curves for the baseline value (T0) and the trajectory param­ eters. (b) The area under the ROC curve (AUC) with its bootstrap 95% confidence interval (CI), and the DeLong p value for the comparison解説: この図は、28日死亡率に対するVNERiのベースライン値と経時的パラメータの識別能を比較したものです。(a)は各パラメータの受信者動作特性(ROC)曲線を示しており、(b)はAUC(ROC曲線下面積)と95%信頼区間、およびベースライン値に対するDeLong検定のp値を示しています。単一のベースライン値(T0)は予後を分離しませんでしたが(AUC 0.59)、平均レベル(AUCn)が最も強い識別能(AUC 0.73)を示し、ベースラインより有意に優れていることがわかります。

に示されています。

3. 既存の動的臨床指標より優れてはいない
しかし、VNERiのコースは、すでに臨床現場で使用されている動的臨床指標(SOFAスコアの変化や乳酸クリアランス)と比較して、優れた予後予測能を示すには至りませんでした。特に24時間でのSOFAスコアの変化(ΔSOFA)は、VNERiのどのパラメータよりも優れた識別能を示しました(AUC 0.84)。乳酸クリアランスはVNERiと同程度の予測能でした。これは、敗血症性ショックにおける早期の予後シグナルは、治療への反応(臓器不全の変化など)を追跡することで多くを捉えられることを示唆しています。各指標の識別能の比較は

Table 2
Table 2. Table 2 Head-to-head discrimina­ tion of the VNERi course param­ eters and the dynamic clinical measures for 28-day mortality解説: この表は、VNERiのコースパラメータと動的臨床指標(SOFAスコアの変化、乳酸クリアランス)の28日死亡率に対する識別能を比較したものです。SOFAスコアの変化(ΔSOFA)が0-24時間ウィンドウでAUC 0.84と最も優れた予測能を示しました。VNERiの平均レベル(AUCn)は0-48時間でAUC 0.73でしたが、ΔSOFAよりも劣る結果でした。ウィンドウマッチさせたVNERiパラメータは、ΔSOFAと比較して有意に劣っていました。

に示されています。

4. 既存の動的臨床モデルへの追加価値
VNERiは単独で既存の指標を超えるものではありませんでしたが、年齢、ΔSOFA、乳酸クリアランスを含む動的臨床モデルにVNERiを追加すると、識別能がわずかながらも有意に改善しました(統合識別改善度: 0.05〜0.06、尤度比p ≈ 0.02)。これは、VNERiが臓器不全の変化とは異なる、部分的に独立した血管系の情報を提供している可能性を示唆しています。時間依存性Coxモデルでは、VNERi(t)が高いほど死亡リスクが低いと関連しましたが、時間変動SOFA(t)で調整するとその関連は弱まりました。しかし、同時期のノルエピネフリン投与量(t)と乳酸値(t)でさらに調整した完全モデルでは、VNERi(t)が再び有意な関連を示しました(ハザード比0.21)。この最後の推定値は信頼区間が広いため不安定ですが、VNERi(t)のシグナルが臓器不全の変化と大きく重なりつつも、部分的に独立した血管成分を保持している可能性が示唆されます。時間依存性モデルの詳細は

Table 3
Table 3. Table 3 Longitudinal and time-dependent models of the VNERi course (mixed-effects model, time-dependent Cox regression, and phenotype Cox regression) Model Parameter Estimate p Mixed-effects (log-VNERi ~ time×outcome) Time slope, survivors + 0.074 /10 h (+ 7.4%) 0.025 Time slope, non-survivors −0.064 /10 h (− 6.4%) — Time×outcome interaction −0.138 /10 h 0.017 Time-dependent Cox, M_base log-VNERi(t) (+ age + baseline SOFA) HR 0.48 (0.33–0.70) < 0.001 C-index (baseline-only model 0.66) 0.75 — Time-dependent Cox, M_sofaTV log-VNERi(t) HR 0.68 (0.44–1.04) 0.077 SOFA(t), per point HR 1.26 (1.15–1.38) < 0.001 C-index 0.81 — Time-dependent Cox, M_full log-VNERi(t) HR 0.21 (0.05–0.78) 0.020 lactate(t) HR 2.05 (1.25–3.35) 0.004 SOFA(t), per point HR 1.22 (1.11–1.35) < 0.001 C-index 0.84 — Course phenotype (Cox, ref = high-rising) Intermediate-falling / worsening HR 3.72 (1.55–8.93) 0.003 Low-persistent / refractory HR 4.98 (1.54–16.2) 0.007 Estimates are the hazard ratio (HR) with the 95% confidence interval unless otherwise stated. The mixed-effects slopes show the change in log-VNERi per 10-hour increase. In the time-dependent Cox models the current VNERi was a time-varying covariate: M_base was adjusted for age and baseline SOFA(T0), M_sofaTV replaced this with the time-varying SOFA(t), and M_full further added the concurrent NE dose(t) and lactate(t). The proportional hazards assumption held in M_full (global Schoenfeld p = 0.15). C-index, Harrell concordance index; HR, hazard ratio; NE, norepinephrine; SOFA, Sequential Organ Failure Assessment; (t), time-varying covariate; VNERi, vascular norepinephrine response index解説: この表は、VNERiのコースに関する縦断的および時間依存性モデルの結果を示しています。混合効果モデルでは、生存者ではlog-VNERiが時間とともに上昇し、非生存者では低下しました。時間依存性Coxモデルでは、年齢とベースラインSOFAで調整したモデルではVNERi(t)が高いほど死亡リスクが低いと関連しましたが、時間変動SOFA(t)で調整すると非有意となりました。完全調整モデルでは再び有意な関連が見られました。コース表現型別のCox回帰では、中間から下降する群と低値で持続する群は、高値で上昇する群と比較して有意に高いハザード比を示しました。

に示されています。

5. 探索的なVNERiコースの表現型
著者らは、VNERiの48時間コースに基づいて3つの異なる表現型(パターン)を特定しました。一つは「高値で上昇する(回復傾向)」群(死亡率16%)、二つ目は「中程度から下降する(悪化傾向)」群(死亡率50%)、そして三つ目は「低値で持続する(難治性)」群(死亡率46%)です。これらの表現型は生存率を明確に区別し、高値で上昇する群と比較して、下降する群では死亡リスクが約4倍、低値で持続する群では約5倍高くなりました。

Figure 4
Figure 4. Fig. 4 VNERi course phenotypes and survival. (a) Median VNERi over the first 48 h for the three phenotypes from the latent class mixed model, each named by the direction of its course: high-rising or recovering (n = 49), intermediate-falling or worsening (n = 34), and解説: この図は、VNERiのコース表現型と生存率を示しています。(a)は潜在クラス混合モデルによって導出された3つの表現型(高値で上昇する群、中程度から下降する群、低値で持続する群)における最初の48時間のVNERi中央値の推移を示しています。それぞれの群には28日死亡率が記されています。(b)はこれらの表現型ごとの28日生存率のKaplan-Meier曲線で、表現型によって生存率が有意に分離されることを示しています(ログランク検定p=0.002)。

にVNERiのコース表現型とそれに対応する生存曲線が示されています。これらの表現型は、将来的に血管作動薬の治療戦略を個別化する仮説を生み出すものであり、難治性血管麻痺の対象者に非カテコラミン系の薬剤(バソプレシン、アンジオテンシンIIなど)がより有効である可能性や、回復傾向の対象者では早期の血管作動薬離脱が可能である可能性を示唆しています。これらは仮説生成のための発見であり、介入試験での検証が必要です。

6. 急性腎障害との関連
VNERiは死亡率の予測には限界がありましたが、ベースラインのVNERiは、ベースラインで腎障害がなかった対象者における敗血症関連急性腎障害(SA-AKI)の新規発症を中程度から良好な識別能で予測しました(AUC 0.75)。死亡率と早期の腎障害は異なるメカニズムと時間スケールで進行する可能性があり、ベースラインの血管緊張は死亡よりも早期の腎灌流のマーカーとなるかもしれません。この結果は予備的であり、さらなる検証が必要です。

研究の強みと限界、そして今後の展望

この研究の強みは、VNERiの経時的変化を前向きに評価した初の研究であること、データが定時的に収集されたこと、そして多様な統計手法を用いて結果の一貫性を確認した点にあります。しかし、単施設での94名の対象者という比較的小規模なコホートであるため、その結果は「概念実証」として捉えるべきであり、確定的なものではありません。特に、既存の動的臨床モデルに追加されたVNERiのわずかな予測改善や、小規模な表現型群(n=11)における推定値は不正確である可能性があります。また、研究対象者の多くがベースラインで血管反応性が保たれていたため、真に血管低反応性の対象者におけるVNERiの挙動については、さらなる大規模研究での検証が求められます。著者らは、この研究結果が仮説生成であり、血管作動薬療法のガイドとしての役割を主張する前に、より大規模な血管低反応性のある集団で検証される必要があると結論付けています。今後は、これらの発見に基づいた介入研究が進められることで、VNERiが敗血症性ショックの個別化医療に貢献する可能性が期待されます。

用語集

  • 敗血症性ショック: 感染症によって引き起こされる重篤な状態の一つで、全身の炎症反応により臓器障害が進行し、血圧が危険なレベルまで低下する。
  • ノルエピネフリン(NE): 血圧を上昇させる作用を持つ血管作動薬の一種で、敗血症性ショックなどで低血圧の治療に用いられる第一選択薬。
  • 血管ノルエピネフリン反応指数(VNERi): ノルエピネフリン投与量と心拍数に対する拡張期動脈圧の比率で、血管のノルエピネフリンへの反応性を示す指標。
  • 拡張期動脈圧(DAP): 心臓が拡張して血液が心臓に戻る際の動脈内の最低圧で、主に全身の血管緊張の状態を反映する。
  • 心拍数(HR): 1分間あたりの心臓の拍動回数。
  • SOFAスコア: 臓器不全の程度を評価するためのスコアで、6つの臓器系(呼吸器、凝固、肝臓、循環器、神経、腎臓)の機能障害を数値化する。
  • 乳酸クリアランス: 血中乳酸値が時間とともにどれだけ減少したかを示す指標で、組織の灌流状態やショックの改善度を評価するために用いられる。
  • AUC(Area Under the Receiver Operating Characteristic curve): 受診者動作特性曲線下面積のことで、診断や予測モデルの識別能(どれだけ正確に陽性・陰性を区別できるか)を示す統計量。1に近いほど識別能が高い。
  • ハザード比(HR): ある事象(この研究では死亡)の発生率の比率を示し、特定のリスク因子や治療が事象発生に与える影響度を表す。
  • 急性腎障害(AKI): 腎臓の機能が急激に低下する状態。様々な原因で生じるが、敗血症性ショックでもよく見られる合併症。
  • 血管作動薬: 血管に作用し、血管を収縮または拡張させることで血圧や血流を調節する薬剤の総称。昇圧剤も含まれる。
  • カテコラミン耐性血管麻痺: ノルエピネフリンなどのカテコラミン系血管作動薬を通常の量で使用しても、血管が収縮せず血圧が維持できない状態。
  • 単施設前向きコホート研究: 一つの医療施設で、対象者を特定期間追跡し、特定の因子(VNERi)と将来の事象(死亡率)の関係を観察する研究デザイン。
  • 時間依存性Cox回帰モデル: 時間とともに変化する変数(時間変動共変量)を考慮して、生存時間データとハザード比の関係を解析する統計モデル。
  • 潜在クラス混合モデル: 観測されたデータのパターンから、背後にある(直接観測できない)異なるサブグループ(潜在クラス)を特定する統計的モデル。
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免責事項

発行 Beyond the Pixel 編集部(Visionary Imaging Services, Inc.)

編集責任者 小林 達明(診療放射線技師/博士(情報学)) ORCID

本記事は生成 AI を用いて作成しています。公開後に気づいた誤りは編集部が随時修正します。

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